トップコラムサッカー王国支える夢と祈り ブラジルから

サッカー王国支える夢と祈り ブラジルから

 ブラジルの地方サッカーを取材した時のことだ。競技人口の多さだけでなく、地方の隅々まで張り巡らされたプロへの道と、競争の激しさが印象に残った。

 最初に「ブラジルには何万人ものプロ、セミプロ選手がいる」と聞いた時は、誇張だろうと思った。実際には、人口数百万人規模の州にも独自の州選手権があり、1部、2部を合わせて20前後のクラブがしのぎを削っていた。

 小さな町のクラブにも、少年時代からプロを目指してきた選手が集まる。多くは短い契約をつなぎながら各地を渡り歩き、わずかな出場機会に次の人生を懸ける。試合前、控室で肩を寄せてささげる選手たちの祈りは、魂の叫びのように聞こえた。

 地方リーグで実績を残せば、全国選手権のセリエAやB、日本のJリーグ、欧州などへ進む道が開ける。地方の若者にとっては、収入と名声を手にする「ブラジリアンドリーム」である。

 ブラジル国内リーグ・セリエAの主力選手ともなれば、驚くほどの収入と名声が待っている。故郷に戻れば少年たちに囲まれ、地域の誇りとして迎えられる。

 しかし、その地位に届くのはごく一握りにすぎない。地方クラブで生き残り、上位リーグのさらに激しい競争を勝ち抜かなければならない。

 世界最多のワールドカップ(W杯)優勝を誇るブラジル代表。ブラジルサッカーの底知れぬ力の源は、地方の小さなスタジアムで繰り返される無数の祈りと挑戦、そして夢を支えるサッカーへの情熱なのかもしれない。(S)

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