トップコラム元軍幹部たちの嘆き 韓国から

元軍幹部たちの嘆き 韓国から

 ソウルの北東端、京畿道との境界付近にユネスコ世界文化遺産に登録されている、朝鮮第11代王・中宗の3人目の王妃を祀(まつ)った王陵「泰陵(テルン)」がある。日本統治からの解放直後、この付近に警備士官学校、後の陸軍士官学校が設立された。もう10年以上前だが、同校の卒業式で大統領が演説するというので、取材しに行ったことがある。国防省の報道官から「ここは韓国軍揺籃(ようらん)の地であり、米ウェストポイントのような軍事的要衝地」と説明を受けたのを覚えている。

 その陸軍士官学校を、南西部の全羅南道に移転させようという計画が浮上し、物議を醸している。政府はそこに大規模な住宅を建設すると説明したが、先日会ったある元幹部将校は「学校をはるか南方に移転すれば、韓国に首都防衛の意志なしという間違ったメッセージを北朝鮮に与えかねない」と嘆いていた。別の軍OBも「米大統領が地元の州にウェストポイントを移転したくてもできないのと同じで、これは軍のアイデンティティーの問題だ」と言っていた。

 学校移転と共に、陸・海・空軍士官学校の統合計画もある。だが、これも専門家らの間では不評。これについてはある例え話を聞いた。「カモは海を泳ぎ、陸を走り、空を飛ぶが、仮に100羽いても海で1頭のオットセイ、陸で1匹のオオカミ、空で1羽のワシに遭遇したら太刀打ちできない」。“カモ”のような将校を大量に育てても、戦場ではそれこそ「カモにされる」というわけだ。現政権はある政治的理由で「士官学校の骨抜き」を黙認しているという陰口も聞かれる。さてどうなることやら…。(U)

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