トップコラムツバメの集団防御戦略【上昇気流】

ツバメの集団防御戦略【上昇気流】

 「ツピー、ツピー」という鳴き声が空から降ってきた。それも1羽や2羽ではない。大合唱なのだ。見上げると、40羽はいるだろうか、ツバメの群れだった。地方都市の郊外での出来事である

近くにある巣を見守る親ツバメ
近くにある巣を見守る親ツバメ

 ツバメは日頃、単独で飛んでいる。それがこの集団だ。南に渡るために集まったのか。いや、それには季節が早過ぎる。そのような思いを巡らせていると、1羽が屋根の軒先へ急降下してきた。身をひるがえして上昇すると、別の1羽がまた急降下……

 軒先を見ると、なんと鷹(たか)が止まっていた。どうやら巣立ち前のヒナを狙っているようだ。ツバメはその鷹に体当たりするかのように接近し、威嚇していたのである。その波状攻撃に鷹はたまらず飛び去った

 「ツピー」は警戒のサインで、それに応じて周辺からツバメが大集合し、鷹を追い払ったのだ。日頃、餌の虫を探して飛び回るさまは〝個人プレー〟の極みに見えるが、こと有事では「集団」で身を挺(てい)して仲間を守る。見事なまでの防御行動に感じ入った

 動物に関する情報サイト「アニラボ」によれば、外敵から身を守る防御手段はツバメのような「数の力で外敵を撃退する集団行動」のほか、「甲羅や外殻などで鉄壁の防御」(アルマジロやカメ)や「匂いで敵を追い払う戦略」(スカンク)など多岐にわたる

 残念なことに「平和を唱えていれば平和になる」という平和念仏戦略はどこにもなかった。それは人間社会の「幻想」だとツバメに笑われそうだ。

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