先日、米カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地で訓練中のB52戦略爆撃機が墜落する事故が発生した。B52は1950年代半ばから運用されてきた長距離爆撃機で、核兵器と通常兵器の双方を運用できる。70年にわたり使われてきた古い機体でありながら、今も米国の戦略戦力の一翼を担い続けている。

その任務の本質は、敵国に「米国を攻撃すれば、必ず反撃される」と思わせる強力な抑止力にある。その象徴が、B52やB2ステルス爆撃機などが担う、通称「世界の終わりのスクランブル」と呼ばれる緊急発進任務だ。
一般に「スクランブル発進」と言えば、領空に近づく不明機や敵機に対し、戦闘機が確認・警告・迎撃のために飛び立つ場面を思い浮かべるだろう。これに対し、戦略爆撃機の緊急発進はより重い意味を持つ。
敵のミサイル攻撃などで基地が破壊される前に機体を空へ逃がし、核報復能力を守ること、加えて必要に応じて敵国周辺や前方展開拠点に向かい、即時攻撃が可能な態勢を示す任務を帯びているからだ。
つまり、国家存亡を懸けた最後のカードを守り、敵に大規模な攻撃を思いとどまらせるための緊急発進なのだ。
今回の事故は、軍人たちが平時から危険と隣り合わせの任務に就いている現実を改めて思い起こさせる。厳しい任務に向き合うその覚悟に敬意を表するとともに、事故で犠牲となった8人に哀悼の意をささげたい。
(K)






