トップコラムSNS時代の弁論大会【上昇気流】

SNS時代の弁論大会【上昇気流】

 留学生の日本語弁論大会を傍聴する機会を得た。出身が近隣諸国といっても、やはりアジアは広い。日本の文化・慣習への共感やギャップが面白く、また興味深かった。こうした草の根の地道な交流が国際理解を深めるのだと改めて感じる。

 一方で関係者の話によると、留学生弁論大会の舞台裏も現実は簡単ではないようだ。募集をかけてもかつてほど集まらず、参加経験者が紹介するケースも少なからずあるという。審査員となる学識経験者の確保という課題もある。

 背景には、やはりSNS時代の波もあるのではないか。既存メディアなどを通さなくても、個人で情報や主張を世界に発信できるようになった変化は大きい。強く叫ばれた「異文化コミュニケーション」も日常的になってきた。

 そう言えば、かつて成人の日にNHKで「青年の主張」という特集番組があり、今後の社会を担う若者の気概を見たものだ。大学では早稲田大の雄弁会、中央大の辞達学会などの弁論部がよく知られたが、今はどうなっているのだろう。

 選挙時はさておき、公衆の面前で弁舌を振るうという、この種の弁論大会も環境面で厳しくなってきたのか。今や大上段に構えた弁論の時代でもあるまいという声も聞こえてくる。

 しかし、人工知能(AI)を駆使するようになった時代だからこそ、生身の人間による弁論の役割は捨て難い。異文化論にとどまらず、時代に応じたテーマ設定や提案は日本にとって貴重な示唆になる。

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