政府は2013年から欧米並みの開業率10%の目標を掲げ、起業支援を経済振興策の切り札の一つとしてきた。ベンチャー企業には、既存の大企業が手を出しにくい分野へのアプローチが期待された
今世紀初頭の経済誌には、起業家の参入分野として、産業ロボット、先端工作機械、新素材、コンピューターソフト、リース、マーケティング・コンサルティングなどが列挙されていた
ところがその後、思ったほど起業数は伸びず、24年度の開業率は3・8%。このほど中小企業庁は起業の増加を目的とした支援を見直し、新企業の質の向上を後押しすることになった
この間、宇宙産業における一部のベンチャー企業などは目を見張る働きをした。しかし若者の数が年々減少する中、子供に安定した将来を見通せる職業に就いてほしいという周囲の願いなども小さくなかったようだ
米国では従来、IT企業が集積するシリコンバレーの存在が大学などの研究成果を実用化できるベンチャー企業の誕生を促した。そこでの新発明が産業の広がりを見せ、新興企業同士の競争が産業の成長を支えてきた
今、わが国では新素材や再生医療などの分野で実績のある大学・研究機関への財政支援を強化する方向だ。起業支援については仕切り直しの感があるが、発明が新たな発明を生む産業化を進めるには、野心ある起業家の存在が不可欠。技術開発のつばぜり合いの世界でベンチャー企業の役割は小さくない。






