「花の春 もみぢの秋のさかづきも ほどほどにこそ くままほしけれ」(花の春、紅葉の秋の盃も、ほどほどに飲みましょうね)。これは明治天皇の皇后、昭憲皇太后の御歌である
明治9年、儒学者の元田永孚(ながざね)が講義の中で、米国建国の父ベンジャミン・フランクリンが徳を磨き品性を高めるため十二徳を壁に書き、日常自戒に努めていたことを説明すると、皇后はことのほか感銘を受けられ、12の徳目を一首ずつお詠みになったという(明治神宮ホームページ「昭憲皇太后さま」参照)
冒頭の御歌のお題は「節制」である。フランクリンの掲げた徳目は「清潔」「勤労」「沈黙」「確志」「誠実」「温和」「謙虚」「順序」「節倹」「寧静」「公義」と続く。「これらの徳がみな習慣になるようにしたいと思った」と彼は述べている(『フランクリン自伝』岩波文庫)
これを元田ら明治の賢人が日本的に昇華させたのが明治23年に発布された「教育勅語」で、これも12の徳目から成る。フランクリンのそれは個人の徳目だが、勅語は「孝行」から始まり「友愛」「夫婦の和」へと広げ、「公益世務」「遵法」「義勇」と社会、国家に対する徳目に高めている
米国は7月4日に建国250年を迎える。フランクリンをはじめとする建国の父たちは今日の米国に満足しているだろうか。徳目は地に堕ちてはいまいか。その問いはわが国にも向けられる
まことに小さな国だった明治日本と米国の「つながりの物語」に不思議な縁を感じる。






