ここ4、5年で世界も日本も大きく変わった。こうした変化は今後もしばらくは続きそうだ。「昔はこうしてきたんだ」というのは、個人の人生の記憶として間違っていないが、今では通用しなくなった。
近年は「問題解決よりも、問題を発見し他者に提起することが求められる」という考えが強くなってきた。そんな流れの中で「人文知」の重要性を検証した本が出てきた。一例が、山口周、深井龍之介共著『人文知は武器になる』(文春新書/近刊)だ。
の変化を敏感に受け止めている2人の著者は、特に歴史の重要性を指摘している。歴史は学校の教科書で習うものとは全く違う。歴史は「異なる社会について知ること」というのが2人の共通認識だ。
「異なる社会」は外国でもよいが、日本であってもよい。今とは異質の時代であれば歴史だ。例えば慶応2(1866)年1月の薩長同盟は、敵対関係にあった薩摩と長州を一つの政治勢力にまとめたものだ。「同じ日本人なのだから、争う意味はない」というのが同盟の推進者、坂本龍馬の発想だ。
「日本だからこそまとまった」という側面はあるが、同盟は実現した。その後龍馬は幕府の手によって暗殺されてしまったが、龍馬の意向は徳川慶喜さえも組み込むものだった。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」とビスマルクは言った。人文知には哲学や芸術などさまざまなものがあるが、とりわけ歴史は人間が生きる上で重要なものと言えそうだ。






