
東京・代々木の明治神宮を久しぶりに参拝した。外国人の参拝者が多いのに驚いた。全体の7~8割を占め、イタリアの旗を掲げた一行も。
参道を行くと、森厳な杜(もり)の空気にすっぽりと包まれる。すぐ近くの表参道や竹下通りの喧騒(けんそう)が嘘(うそ)のようである。大東京の中のオアシスというだけではなく、心身共に洗われる特別な空間と改めて実感した。
外国人が多いのは、海外の観光ガイドに伝統文化が体験できる場所として紹介されていることが大きいようだ。神社と鎮守の杜は日本文化の基層、最もディープな部分である。訪日客に人気の渋谷のスクランブル交差点にも近い。
明治神宮は大正9年、明治天皇と昭憲皇太后を東京でお祭りしたいという国民の声によって創建された。広大な鎮守の杜は、全国。から寄せられた約10万本の木が植えられてできた人工林だ。植樹は延べ11万人の青年たちの勤労奉仕によって行われた。
樹種については、既に公害によって木が枯れたりしていたため、100年先を見越した林学者らの献策によってシイ、カシ、クスノキなど照葉樹が中心となった。これに対し、日光東照宮の雄大な杉並木が頭にあった首相の大隈重信がスギにしろと異論を唱えた。学者らはスギが都会に適さないと大隈を説得した。
そのかいあって、神宮の杜は豊かに成長した。今の姿は学者たちの頭の中に描かれていたと思われる。ただ、こんなにたくさんの外国人が訪れることは想定外だったろう。






