
小説家の武者小路実篤が亡くなって今年で50年。1976年4月9日、90歳で生涯を閉じた。その年の1月、入院中の妻・安子を見舞った夜、実篤は心労で倒れた。そして2月6日、安子が亡くなった。
が、その死を知らされないまま、実篤も3月22日に入院し、91回目の誕生日である5月12日を前に永眠。没後50年を記念して、東京都調布市にある武者小路実篤記念館で、さまざまな企画展が行われている。
今、開催されているのは「武者小路安子没後50年」(7月20日まで)で、妻、母、祖母としての安子をテーマとした展覧会。実篤が絵筆を執って野菜や花などの絵を描き、言葉を添えた作品を多数残したように、安子も家族のスケッチを残した。
実篤が「安子夫人像」を油彩で描けば、安子も「新聞を読む実篤」を鉛筆で描いた。安子も絵が好きで、家族へのはがきには絵が添えられていた。墨彩や水彩のスケッチブックや画帳も残されている。
調布市の「仙川の家」に移り住んだのは1955年で、実篤70歳の時だ。「年を取ったら水のある所に住みたい」という少年の日の夢をかなえた。敷地は丘の斜面で、広大な庭に湧き水と二つの池がある。
樹木も豊かで武蔵野の面影をとどめている。晩年はここで安子と二人だけの気兼ねのない時を過ごした。実篤は午前中に原稿を書き、午後は書画の制作や来客の応対などをした。旧実篤邸は建築家・山口芳春による近代数寄屋造りで、国の登録有形文化財。






