米国家情報長官室(ODNI)は新たに公開した文書で、新型コロナウイルスは中国の「武漢ウイルス研究所」から流出した可能性が高く、元政府感染症対策トップのアンソニー・ファウチ氏らが情報機関と共に研究所起源説を隠蔽(いんぺい)していたと指摘した。

間もなく退任するギャバード国家情報長官は声明で、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)は数多くの米国人に甚大な苦痛をもたらしたが、今回の文書公開は長年続いてきた「虚偽、検閲、隠蔽」の実態を明らかにするものだと語った。
12日に公開された文書は、新型コロナが武漢ウイルス研究所から流出したのか、それとも動物由来なのかを巡って連邦当局者や情報分析官の間で行われた内部論争の新たな詳細を明らかにしている。
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ODNIは声明で、これらの文書は、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の所長だったファウチ氏が情報機関内の「政治的思惑で活動していたキャリア官僚」と協力し、パンデミックの発生源が武漢ウイルス研究所であるという「真実」を抑え込んでいたことを示していると主張した。
2021年6月に行われた米中央情報局(CIA)のファウチ氏へのブリーフィングに関して文書には、同氏がセンザンコウ由来のコロナウイルス研究を行っていた武漢ウイルス研究所の活動に強い関心を示していたことが記されている。ファウチ氏は情報当局の調査担当者に対し、「ウイルスの特徴が自然発生説と整合すると判断している」科学者に接触するよう提案していた。
研究所流出説を支持する文書には、20年5月にカリフォルニア州のローレンス・リバモア国立研究所の特別情報分析部門がまとめた報告書がある。
この報告書は、「ヒト細胞受容体を認識するよう適応させた研究所改変型コロナウイルスが偶発的に流出する条件が、2019年半ばから後半にかけて中国の武漢ウイルス研究所に全て存在していた」と結論付けている。
文書には、ウイルス起源に関する分析が意図的にゆがめられたと報告したことで報復を受けたと訴える複数の情報機関内部告発者の証言も盛り込まれている。
ODNIは、研究所起源説を隠蔽するための活動には、異論を抑圧し、批判者を黙らせ、証拠を封印するという「明確なパターン」が存在し、それは情報評価の公正性を損ない、「米国民の利益に反するものだった」と指摘した。
ODNIの声明によると、19年末に始まったパンデミックの期間中、ファウチ氏は情報分析官らと緊密な関係を築き、新型コロナ起源に関する情報統制で重要な役割を果たしたという。
さらに同氏は舞台裏の助言者として行動し、専門家を選別して自然発生説を支持するよう情報機関に働き掛け、中国での危険な研究を隠蔽したとODNIは主張している。
声明は「パンデミック期間を通じて、ファウチ氏と、情報機関内の政治的思惑に影響された指導部は、自分たちに都合のよい見解を互いに引用し合うことで、あたかもそれが客観的に裏付けられた事実であるかのように見せる情報の循環構造をつくった」と指摘。「その情報は公式の情報評価を形成し、その後、研究所流出説を否定するための科学的コンセンサスとして公に利用された」という。
また情報機関幹部は、研究所流出説を支持する分析官に対し、その見解を維持すれば昇進の機会を失うと脅していたとされている。
声明は「メッセージは明確だった。操作された結論に異議を唱えれば、キャリアは終わるということだ」と強調、内部告発者は「威圧的な雰囲気」によって沈黙させられたと指摘した。
公開された文書には、22年1月12日付のワシントン・タイムズの記事に対する情報当局者の反応も含まれていた。記事では、国防高等研究計画局(DARPA)で勤務した元海兵隊少佐ジョセフ・マーフィー氏が、新型コロナを調査した結果、武漢ウイルス研究所で行われたワクチン研究から生み出されたとの結論に達したとする覚書を取り上げていた。






