トップコラム生保不正は成果主義の悪弊【上昇気流】

生保不正は成果主義の悪弊【上昇気流】

 保険会社の信頼性向上に向け、規制強化などを定めた改正保険業法が今月施行された。「信用」を売る業界で不正が繰り返されていることが背景にある。

 ソニー生命保険では、4人の元営業社員が顧客14人に投資を持ち掛けるなどして計約1億2000万円を不正に受け取っていた。同社では元社員が顧客らから計約22億円を借り、懲戒解雇される事案も起きている。

 プルデンシャル生命保険では1月、社員・元社員100人以上が顧客約500人から計約31億円を詐取したことが発覚。2026年3月期決算で顧客への補償費用に約47億円の特別損失を計上した。不正は30年以上にわたり続いていたとみられる。

 社員らを不正へ駆り立てるのは、大方の生保に共通する歩合制の報酬体系だろう。成果主義で収入が決まってしまうため、自らのもうけのために客を利用するというあざといやり方に走ってしまうのだ。

 「全般に保険料が高過ぎます。貯蓄商品以外、ほとんど半額くらいにできると思っています」(国内生保内勤職員)、「保障目的の商品などは『専用口座に1万円入金すると、3000~7000円もの手数料が引かれる』」(後田亨著『生命保険は「入るほど損」?!<新版>』日本経済新聞出版)。 

 昨年は、生保社員らが出向先の金融機関で顧客の個人情報を大量に持ち出す不正も判明している。業界全体のコンプライアンス(法令順守)意識の低さは明らかだ。顧客の人生に寄り添う姿勢が見られない。

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