今月初旬、沖縄本島を直撃した台風6号は、各地に大雨や暴風をもたらした。沖縄本島で暴風警報が発表されたのは3年ぶりだ。1日には路線バスが終日運休すると発表され、仕事が休みになった県民らは自宅待機を迫られた。
沖縄で台風を初めて経験する筆者は、防災や停電情報を集め事前に備えたが、ほとんど被害はなかった。ただ、うるま市では最大瞬間風速40・6㍍を観測し、県内約3万世帯が停電した。
台風が過ぎ去り、「今回の台風はそんなに強くなかったね」という声を聞いた。台風が年平均7回も接近する沖縄では、県民は台風の中心気圧で強さを確認すると聞く。今回は975ヘクトパスカルだったが、950以下から警戒を強めると知人が教えてくれた。
ヘクトパスカルが低いほど風が強くなる。この風の恩恵を受ける存在がいる。それは沖縄の海に広がるサンゴだ。沖縄情報を発信する交流サイト(SNS)で「サンゴのために台風はありがたい存在だ」との投稿を見て知った。
沖縄が誇る青い海と台風は一見、関係がなさそうだが、実は台風は重要な役割を果たしている。強風によって海水がかき混ぜられ、海水温を下げる効果がある。
自ら体温を調節できないサンゴは、海水温が30度を超えると、サンゴに栄養を与える「褐虫藻」という植物プランクトンが高温でストレスを受ける。褐虫藻が抜けると白化が起こり、サンゴの減少につながる。
2024年は海水温が高い状態が続き、白化が広く確認された。台風がしばらく来ないと、台風の到来を待望する声が上がるのはこのためだ。
台風がもたらすものは被害だけではないと知り、台風を見る目が変わった。沖縄では本土にいるよりも、「自然の脅威」と「自然との共生」を実感させられる。(A)






