トップコラム死刑復活巡り論争 フランスから

死刑復活巡り論争 フランスから

 最近の話題の一つに死刑復活がある。

 フランスでギロチンによって最後の死刑が執行されたのは1977年9月。81年には死刑制度が廃止された。それ以来、廃止運動の先頭を走る国となって現在に至る。2007年には「何人も死刑を宣告されない」と憲法に明記され、死刑のない国の手本となっていた。

 ところが最近、児童殺害に限り死刑にすべきだという署名運動が起きている。無抵抗な子供が被害者となり、性犯罪や虐待を伴う殺人、計画的で残虐な犯行への憤りは強まるばかりだ。

 フランスでは最近、博物館見学などを学校の放課後授業に組み込んだ結果、指導員の青年による性暴力事件が多発した。今年3月に就任したパリのグレゴワール市長は今月、この問題に関する独立調査委員会を設置したことを発表した。

 南西部ジェルス県で起きた11歳のリアンナさん殺害事件で逮捕・勾留された41歳の容疑者は、過去、数回にわたって未成年者への性的暴行で告訴されていたが、司法は放置したとして批判を浴びている。実際、性犯罪者の再犯率は高く、その一方で罰則が軽いとの批判がある。

 犯罪抑止が死刑を主張する側の根拠の一つだ。子供の殺害や拷問を伴う殺人については、現行法では、仮釈放が極めて困難な「実質的終身刑」を科すことが可能とされているが効果は薄い。

 子供を守るべきだという主張に反対は存在しない。死刑廃止後40年以上たつフランスで、事態の深刻さから、論争が巻き起こっている。(A)

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