
東京都大田区にかつて文士村があった。ここに作家や画家たちが多く住むようになったのは、大正時代末期から戦前にかけてで、馬込から山王までの地域である。
その様子を展示している大田区立郷土博物館に行ってみると、今年は大森駅の開業150年で、今月24日から「大森駅開業前夜」の特別展示が開かれるという。「150年前の大森を振り返る」企画だ。
明治時代の初期で、ここを通る東海道の往来が鉄道へと移り変わる時代。街道では行き交う旅人に、麦わらで作った「編み細工」や「張り細工」が売られ、東京湾では海苔(のり)の養殖も盛んだった。
また来年は、E・S・モースが大森貝塚を発見してから150年で、9月16日から「大森貝塚と大田区」展が開かれる予定だ。ここのパンフレット類の展示コーナーで『セーラムの歴史』を見つけた。
同博物館の・発行で、大田区と米北東部マサチューセッツ州のセーラム市は姉妹都市。モースの取り持つ縁だった。モースはセーラムに住んで陸生貝の研究に没頭し、日本に腕足類がたくさんいることを 聞いて1877年に来日。
横浜から東京に向かう汽車の中から大森貝塚を発見した。近代考古学の幕を開け、東大教授となって進化論を講義した。『セーラムの歴史』は日米関係の歴史に目配りが利いていて、美術史家のE・F・フェノロサもセーラムの人だったと紹介。モースの呼び掛けで来日した。大田区は歴史の話題が豊富な郷土だ。






