「なんという空しさ なんという空しさ、すべては空しい」――。これは旧約聖書「コヘレトの言葉」の最初に出てくる一文である(1章2節)。
コヘレトとは古代イスラエルの王ソロモンのことで、一昔前の聖書では「伝道の書」と呼ばれていた。それには「空の空、空の空、いっさいは空である」とある。
テレビで国会質疑を視聴していると、この言葉がつい浮かんだ。「なんという空しさ」「空の空」。高市早苗首相の地元秘書が自民党総裁選などで対立候補の中傷動画作成に関与していたとする週刊誌報道を巡って、延々と質疑を繰り返していたからだ。
考えてもみてほしい。激変する安全保障環境、エネルギー危機、物価上昇、超少子化……。国内外で地殻変動が起きているのだ。それを問わず週刊誌報道の真偽ばかりにうつつを抜かす。それで日本は立ち行くのか。
1990年代のベストセラー『日本改造計画』(小沢一郎著)の執筆に関わった香川俊介元財務事務次官は、後に新たな「改造計画」を思索し提言を遺(のこ)した。その中に国会改革案がある。「与野党の政策論議を深めるため、質問ではなく討論を行う、政治家のプライベートな問題は取りあげない」(産経新聞2026年3月21日付)。
コヘレトは「何事にも時があり 天の下の出来事にはすべて定められた時がある」とも言っている(3章1節)。旧態依然の国会を改める時は今ではないのか。「時の記念日」のきょう、そんな「時」を考えたい。






