トップコラム国立劇場の歌舞伎鑑賞教室【上昇気流】

国立劇場の歌舞伎鑑賞教室【上昇気流】

 若い人たちに伝統芸能に親しんでもらおうと日本芸術文化振興会が主催する「国立劇場歌舞伎鑑賞教室」の公演を観(み)に行った。会場の前の席は中高生たちで埋まっていた。

 この教室は、長谷川眞理子理事長によるプログラムの挨拶(あいさつ)文を読むと、国立劇場開場の翌年、昭和42年に開始され今回で109回目。演目は「仮名手本忠臣蔵」の五段目と六段目。中村芝(し)翫(かん)さんが早野勘平、女房おかるを片岡孝太郎さんが演じた。

 公演前に市川男(お)寅(とら)さんが、「歌舞伎のみかた」と題し、下座音楽を演奏する黒御簾(くろみす)の中の様子、太夫の浄瑠璃がどのように語られるかを解説した。総合舞台芸術としての歌舞伎の鑑賞を助ける解説を現代風に分かりやすく語ってくれた。

 幕が開き「山崎街道鉄砲渡しの場」から「与市兵衛内勘平腹切の場」まで、目まぐるしく人物が入れ代わり立ち代わり登場する。最後に勘平が、亡君の仇(あだ)討ちに参加する連判状に血判を押し満足して息を引き取る場面まで、改めて込み入った、アクロバティックな筋だなと思うが、このリアリズム無視こそ歌舞伎の面白さと納得した。

 一方、映画「国宝」の美しい女形とは違い、ざんばら髪の勘平が腹に刀を突き刺したまま、思いを語る場面を中高生はどう見たのかが気になった。

 軽いカルチャーショックを覚え、なぜそこまでして主君に忠義を尽くそうとするのか疑問に思った子もいたに違いない。しかし、そこから日本人と日本文化への理解が深まるのだろう。

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