学生時代、世界を歩いてトイレ研究のフィールドワークをしていた教授がいた。それで本も書いている。何でも極めれば学問にもなる。
なるほどトイレの衛生環境一つとっても、経済発展ぶりやローカルな伝統的縛りなどとリンクしており、社会学的アプローチができる。
アジアを旅すると、いろんなトイレ事情と遭遇する。
ラオスで長距離バスに乗ると、トイレ休憩のたびに森に入って行かなければならなかった。中国では木の橋を渡った池の真ん中にかやぶき屋根の小屋があって、下をのぞくとコイが口を開けて落下物を待っていたりもした。
インドでは早朝、多くの人が海岸に向かって歩いていた。散歩にしてはみんな一様に缶を持っている。
目的地はインド洋に面した砂浜で、それぞれ手にした缶に海水をくみ、しゃがみ込んだ。現地のインド人は当時、男もズボンではなく巻きスカートのようなものだったからお尻は隠れている。緊張から解き放たれると、左手で缶の水を使いコチョコチョっとお尻を洗う。
インドの人口14億人は世界一だが、インド洋は世界一の水洗トイレでもあった。
ともあれこのままトイレ難民を放置しておくわけにはいかないと案じたモディ首相は、インドに1億1000万個のトイレを作ろうと「クリーン・インディア」キャンペーンを打ち出した。5年で約1億個のトイレを作ったというから、「クリーン・インディア」は「クリーン・インド洋」にもつながったもようだ。(T)






