1989年6月4日に中国・北京で発生した民主化要求デモへの武力弾圧「天安門事件」から37年。これに合わせて米空軍系シンクタンク、中国航空宇宙研究所(CASI)は新たな報告書を公表し、中国共産党が現在、この事件に関する新たな偽情報キャンペーンを展開し、事件への評価を「逆転させようとしている」と指摘した。

報告書によると、中国共産党はもはや事件の記憶そのものを消し去ろうとするのでなく、人民解放軍(PLA)兵士による英雄的行為として描こうとしている。
報告書は「中国共産党は検閲によって記憶を抑圧するのではなく、出来事そのものを再構築しようとしている」と指摘した。
2022年以降、中国共産党は「天安門事件の真の英雄は人民解放軍だった」とする宣伝画像の拡散を始めたという。
報告書によれば、事件の民主化運動参加者は「反革命分子」「テロリスト」と位置付けられ、中国政府は、国家を守るために犠牲になったのはPLA兵士だったと主張している。
この新たな宣伝活動は、中国共産党が数十年にわたる検閲と情報操作によって、事件に関する国民の記憶をほぼ白紙化することに成功し、その空白に新たな物語を書き込めるという自信を持っていることを示しているという。
新たな公式見解では、「決して忘れてはならない」と訴え、この新たな歴史認識を宣伝している。報告書はこのような認識を虚偽と指摘した。
報告書には、戦車の上で敬礼するPLA兵士の宣伝ポスターが掲載されている。そこには「1989年の反革命暴動において犠牲となった人民解放軍兵士に敬意を表する」と記されている。
また、戦車の上空にはオリーブの枝をくわえた白いハトが飛び交い、その兵士が平和回復に尽力したことを象徴する演出が施されている。
SNSには、天安門広場の中央に建てられた革命英雄記念碑の写真を投稿し、「6・4事件においてテロリズムから国家を守った人民解放軍の英雄たちの犠牲を決して忘れるな」と呼び掛けている。
報告書は、「中国共産党は、約40年にわたり検閲を行い、近年では歴史の改竄(かいざん)を試みている。しかし、体制への発言権拡大を求めた国民に対して中国共産党が行った残虐な弾圧は、同党と体制の本質、権力維持のためには残虐行為も辞さないという姿勢を示すものとして、今後も国際社会の認識に影響を与え続けるだろう」と結論付けている。






