会社経営の刷新をテーマにしたある経営者の講演の中で「圏(けん)論」という言葉が盛んに出てきた。現代数学の研究分野だが、その考え方を会社経営に取り入れている所が少なくないという
数学者・加藤文元(ふみはる)氏によると「『関係の類似性を見いだす』のが圏論の考え方」「『モノとモノをつなぐ矢印のネットワーク』だけを扱い、そのモノがなんであるかをまったく問わない」(「中央公論」5月号の「圏論とは、そして数学を学ぶ意義とは何か」)
例えば「ある会社の人員ネットワークの形が、ある都市の電力網の構造と似ているとしたら、スマートグリッド(次世代電力網)の設計思想が組織改革のヒントになることだってあり得る」「あらゆる分野の共通語になり得る可能性を秘めている」(同)と
圏論が誕生したのは1940年代で、当初は純粋に数学理論として研究されたが、その後現実社会への応用の幅が急速に広がっているという
われわれは日ごろから「アナロジー(類推)」を使って世界を理解している。ノーベル物理学賞受賞者の故南部陽一郎氏は「進歩はまず実験事実の定性的な特徴をとらえて一応の解釈を与えることから始まる」「近似的な法則を見出すこと」(『クォーク第2版』)とした。圏論的思考がうかがえる
今日、先端技術領域の人材が不足しているが、理由の一つは知識が極細分化され、それを習得することの難しさにある。圏論の方法論による“知識の融合”も進めたい。





