トップコラム【ワシントン発 ビル・ガーツの眼】米国 インフラ保護へ新プログラム 中国のサイバー攻撃に対抗

【ワシントン発 ビル・ガーツの眼】米国 インフラ保護へ新プログラム 中国のサイバー攻撃に対抗

 米国土安全保障省のサイバー・インフラ安全局(CISA)は5月初め、中国などからの破壊工作による脅威から「重要インフラ(CI)」を保護するための「CIフォーティファイ」と呼ばれる新たなプログラムを開始した。これは民間のインフラ事業者などが、「危機や紛争下でも運用を継続し、システムが攻撃を受けている状況でも重要サービスを提供し続けられるよう準備する」ための支援策だ。

 CISAのアンダーソン長官代行は声明で、「地政学的危機の際には、米国民が依存する重要インフラ組織は、最低限でも不可欠なサービスを継続提供できなければならない」と強調した。

 CIフォーティファイは、敵対勢力に対する防御強化を目的としている。特に、中国政府主導のサイバー侵入への対策が重視されている。中国側は電力網や金融コンピューターネットワークなど、米国の16の重要インフラに侵入していることが確認されている。

 重要インフラのコンピューターネットワークの大半は政府所有ではなく、サイバー攻撃の高度化に伴い防御はより困難になっている。

 新設されたCIフォーティファイのウェブページでは、中国のハッカーが重要インフラ内にマルウエア(悪意あるソフト)や侵入口を事前配置することに成功しており、それらは「米国を支える(システムを監視、制御する)運用技術(OT)を混乱させ、破壊する」ために利用される可能性があるとしている。

 勧告によれば、中国系ハッカーは主に、米本土とグアムの通信、エネルギー、輸送、上下水道などの部門に関連するインフラネットワーク内部で確認されている。

 米中関係は依然として不安定だ。中国は数十年にわたり、データ窃取を目的として政府・民間双方のシステムに対するサイバー攻撃を続けている。それらのデータは中国の人工知能(AI)開発にも利用されている。また、紛争前の事前配置も行われている。

 こうした攻撃は続いているが、米議会や歴代政権はほとんど対応してこなかった。

 中国はまた、台湾向けの新たな米国製兵器売却にも反対している。台湾問題は、中国が武力による併合を示唆していることから、軍事衝突に発展しかねない米中関係の大きな火種だ。

 米中関係はさらに、米国による中国製品への関税や、中国がベネズエラやイランからのエネルギー資源の供給を断たれたことによっても悪化している。これらは減速する中国経済に打撃を与えている。

 今回のCIフォーティファイ計画の狙いは、一部には「ボルト・タイフーン」というコードネームで知られる中国政府支援のハッカー集団による長期にわたる事前配置型ハッキング活動への対応にある。

 ボルト・タイフーンのハッカーは、2021年半ば以降、米国などのネットワーク内部で活動していることが確認されている。その目的は、中国による台湾侵攻の際、事前に米軍の動員を妨害し、遅延させる能力の構築にあるとされている。

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