
初夏は各地で山開きをする季節で、福島県の安達太良(あだたら)山(やま)では今月17日に行われた。奥岳登山口で祈願祭があり、山頂では登頂者に記念ペナントをプレゼントするイベントがあったという。隣の磐梯山では24日、尾瀬の福島県側では26日に行われる。
山開きは昔の修験道(しゅげんどう)や講中登山の名残だ。かつて山伏たちが神聖な山に登ることができたのは夏の一定期間だけ。講中登山などで一般の人が登れるようになったのは江戸時代中期からだ。
講中登山の名残は、東京都渋谷区の鳩森八幡神社や練馬区の浅間神社の富士塚に残っていて、今も参拝者がいる。福島県で講中登山が盛んだった山の一つが吾妻山だった。
平安中期以来この山を神として祭ってきた記録があり、信仰の山として栄えたのは寛政から天保にかけての50年間。京都の天台宗聖護院から許可を得て、修験道の作法を受け継ぎ、組織を整え、道を整備した指導者がいた。
開かれた六つのルートのうちの一つが、安達太良山を前山とみて、鉄山から高森、樋沼、谷地平、中吾妻山を経て奥の院に至る道。だが、修験道は明治維新の修験道禁止令(明治5年)で消滅。先達クラスの山伏12万人が失職したという。
戦後復活したがごくわずか。今は、吾妻山で山開きの案内はなく、尾瀬は明治以降になって人が登るようになった山で、修験道とは無関係だ。修験道は神仏習合から生まれた日本独自の宗教。これをなくしたため、巨大な文化遺産を失うことになった。





