
東海地方に初夏の到来を告げる岐阜県・長良川の鵜飼(うか)いが始まった。1300年の歴史を持つこの漁法は、稲作と共に中国から伝わったという説と、日中それぞれで始まったという説がある。両国の鵜飼いを比較すると微妙な自然観の違いが見えてくる。
卯田宗平著『鵜と人間 日本と中国、北マケドニアの鵜飼をめぐる鳥類民俗学』(東京大学出版会)によると、中国では、漁師たちが人工繁殖させたカワウを利用しており、日本では野生のウミウを捕獲し、それを飼い慣らして利用している。
卯田氏は、中国や周辺地域では、長い歴史の中でさまざまな動物の生殖に介入してきたと指摘。諸説あるとしながら、イノシシをブタに、クワコをカイコに、マガモをアヒルにしたことを例に挙げる。
そして「中国では動物を人為的な環境にとりこみ、その全生活史を人間の管理下におくことに積極的である」という。自然のありのままの姿を尊重する日本とは対照的だ。
また、中国では人間とカワウの間で主従の関係を明確にし、「『カワウは漁の手段である』とあっさり割り切った態度で接する」という。それに対し、野生のウミウをゆっくりと慣れさせ、お互いの信頼関係を築きながら「鵜匠の手足代わりに」していくのが日本の鵜飼いである。自然との共生的な姿勢と言える。
鵜飼い一つを見ても、中国人と日本人の自然への対し方はこうも違う。これは、そのまま人間や社会への対し方と通じるところがあるだろう。





