英国の社会派映画の巨匠ケン・ローチ監督の「オールド・オーク」を観(み)た。ローチ監督は労働者や社会的弱者を代弁する作品を作ってきたが、この映画では移民・難民問題を正面から扱った。
舞台はイングランド北東部のさびれた炭鉱町。そこにシリア難民が大挙してやって来る。町には負担が重いと住民たちは反発。かけがえのない交流の場である町唯一のパブ「オールド・オーク」も、難民問題の争論の場となってしまう。
旧植民地からの移民が多く、多人種化の進むロンドンなどと違い、田舎には昔ながらの英国人社会が残っている。英国でも移民への反発が高まった背景には、そんな地方の事情があると思われる。
主人公でパブの店主バランタインは、難民の一人ヤラと知り合い、難民と住民の相互理解のためにパブでの食事会を企画する。しかし、難民受け入れに反対する常連客の妨害で挫折する――。この問題の難しさは、ついに店主と常連客との仲まで割。いてしまうことだ。
ローチ監督は、難民の受け入れに反対する住民を排他的と一方的に非難するわけではない。「ちょっと文句を言えば、差別主義者呼ばわり。うんざりだ」と住民に語らせる。ローチ監督のリアリズムが生きているのは、こうした住民の描き方だ。そこから彼らへの同情も伝わってくる▼映画には実際の難民であるシリア人、そして地元住民も出演している。地方の姿をありのままに描くことが解決の第一歩だと語っているようだ。





