トップコラム「狙い目の判断」もいろいろ【上昇気流】

「狙い目の判断」もいろいろ【上昇気流】

 「完全に整っているのはよろしくない。残したことをそのままにしているのは趣があり、命が延びる気がする。皇居造営の時も、必ず造り終えない所を残すものだ」という言葉が『徒然草』(82段)にある。

 皇居であっても「完全主義は好ましくない」という教訓なのだろう。日本人一般にも大方納得できるような考え方だ。完全主義の「息苦しさ」はいただけないという気持ちはよく伝わってくる。

 『徒然草』の作者である吉田兼好が、仁和寺の高僧である弘融僧都との交流の中で、誰かが話した言葉を思い出して書き留めたものだ。「90点は欲しいが、100点である必要はない」ということだろう。いくら何でも「30点でもOK」とまでは兼好も言っていない。

 「完全に敵を殲滅(せんめつ)するのは不可」という戦争に関わる教訓がある。「死に物狂いになった敵は怖い」というのは分かる。1カ所でもいいから逃げ口を敵に与えた方がよいということだろう。

 完全主義と「1位狙い」は大方似ているが、微妙に違うところもある。以前、世界一の性能を目指すスーパーコンピューターに関して「2位じゃダメなんでしょうか」と言った女性政治家がいた。

 予算のムダを洗い出す中で出た発言だが、ノーベル賞受賞者(日本人)が「初めから2位を狙ったのではダメ、1位を狙っても3位・4位になるのがコンピューター競争の世界だ」と語っていたのが印象に残っている。「狙い目の判断」もいろいろだ。

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