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神は見ている【心をつむぐ】

寄付のイメージ
寄付のイメージ

 取材で出会ったあるご婦人がいた。その方はある宗教を信仰していて、若い頃から献身的に活動していた。ある時、所属の教会から教会建物建設のための献金要請が来た。収入が無く断ったが、教会側はどうしても必要だという。

 ご婦人は、当時母親と二人暮らしで、母親はその宗教を信仰していないため仕方なく、口実を見つけて高齢の母に頼み込み、ささやかな年金の中から出してもらった。

 決していい気持ちはしなかったが、「天の願いのため」という思いが自分を納得させた。

 その後、その教会の会計スタッフがこっそり彼女に教えてくれた。

 「教会責任者の生活費になっている」

 事実かどうかはともかく、その言葉に深く傷つき、心の糸がプツンと切れた。以降は一切献金をやめ、静かに教会を去った。

 宗教はさまざまな名目で多額の献金を集める。巨額になった献金から、責任ある立場の者が一部を自分の懐に入れるというのもありがちな話だ。

 いっそのこと最初から「生活費に使いますので寄付をお願いします」とするなら納得していたかもしれない。宗教的な名目で集め、別なことに使うから問題が生じる。しかし、神は見ている。神はこのご婦人のように傷ついた心にも寄り添っているはずだ。

 今争いの絶えないこの世界で、この瞬間も苦難の道を歩まざるを得ない名もなき人々のそばに神はいまし給うはずである。

(風)

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