高市早苗首相は会食が苦手で特に夜の会合には出ず、SNSでの発信が目立つという。麻生太郎副総裁ら自民党幹部との昼食会が話題になるほどだ。今後は定期的に党幹部との会食を行うらしいが、高市流も微調整が必要なのだろう。
江戸幕府8代将軍徳川吉宗の治世、老中の久世(くぜ)重之(しげゆき)が引退間近、将軍側近の有馬氏倫(うじのり)に「常日頃の覚悟」について問いただした。御奉公には「役儀」と「勤方」の二つあるが、その違いをどう捉えるかと。
当惑してすぐ答えられない有馬に対し、久世は丁寧に説く。「御奉公の筋」と「役儀の筋」は全く別物で、前者はどのようなことであっても上様の御為と考えたことを一心に覚悟を持って務めることだが、後者は全く別物。老中、御近習それぞれの役儀があり、これは少しも混乱してはならず、その格を違えては天下の害になる――。
近世歴史学者・福留真紀さんの『将軍と側近』(新潮社)から引いた。当時、吉宗は政治刷新を進め、直接現場の実務者から事情を聞くなど従来にない手法を取った。久世は幕臣たちが老中を通さないことに疑問を感じなくなることを懸念したのだ。
時代は違うといっても、久世の説くところは大筋で道理がある。巨大与党となった自民党は「高市1強」の様相ではあっても、だからこそ党運営は結束して円滑に進めねばならない。
スピード感を持って「国論を二分する」政策に挑む。これを実現する上で官邸と党の一体感、バランスが不可欠だ。





