トップコラム英国王のスピーチ【上昇気流】

英国王のスピーチ【上昇気流】

4月28日、ワシントンの米議会で演説するチャールズ英国王(AFP時事)
4月28日、ワシントンの米議会で演説するチャールズ英国王(AFP時事)

 チャールズ英国王が国王として初めて米国を訪問し、議会で演説をした。英国王の米議会演説は、1991年のエリザベス女王以来。女王の演説は約12分だったが、チャールズ国王の演説は約30分で、政治的に踏み込んだ内容となった。

 国王は、北大西洋条約機構(NATO)の重要性、ウクライナを守る揺るぎない決意を訴え、米のイラン攻撃を巡って急速に冷え込む英米関係を念頭に「意見の相違があっても、民主主義を守り、全ての人々を危険から守り、国のために命を賭している人々の勇気をたたえるという決意では一致団結している」と強調した。

 イラン攻撃に協力的でないスターマー英首相をトランプ米大統領がチャーチル元英首相を引き合いに出して批判したが、演説で国王は何度も英米の「特別な関係」を強調。その都度、盛んなスタンディングオベーションを受けた。

 第2次世界大戦でドイツに宣戦布告したジョージ6世が、吃音(きつおん)を克服し、見事なラジオ演説を行って国民を奮い立たせた話は、映画「英国王のスピーチ」にもなっている。メディアが限定されていた時代の演説やスピーチには、今にはない力があった。

 発信媒体の多様化がかえって言葉の重みを相対的に低下させた。それでも普遍性と説得力、真実味のある言葉は人を動かす。

 米議会での国王の演説は、何とか英米さらに米欧の関係を修復しなければならないという気持ちが溢(あふ)れていた。参加した米国会議員たちに、それは届いただろう。

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