昭和100年を記念するイベントが各地で行われている。東京・小金井市にある江戸東京たてもの園のビジターセンター隣の展示室では「昭和100年と江戸東京たてもの園」が開催中だ。
江戸時代末期から現代に至るまで、小金井緑地の歴史を紹介している。ここは昔から桜の名所として知られ、数々の浮世絵に描かれてきた。メインの展示は皇紀二千六百年記念事業の回顧で、昭和15(1940)年の世界にタイムスリップする。
ところで昭和が過ぎ去って間もなく、この時代を回顧する著書が幾つも現れた。経済史家の中村隆英(たかふさ)が著した『昭和史』(Ⅰ・Ⅱ、東洋経済新報社、93年)はその一つで、第20回大佛(おさらぎ)次郎賞を受賞した。
ベストセラーとなり、昭和史ブームの火付け役になった。専門性を生かしつつ政治・経済・社会・文化を複合的に捉え、この時代の特色を描き出していた。著者の生涯とも重なる時代だった。
著者によると、日本の現代がいつ始まったのかは明確だった。それは17年のロシア革命。マルクス主義的世界観は当時の日本社会を理解する上でぴったり合い、若い知識人も労働運動の指導者も受け入れた。
これが見えない軸のように、戦後も青年の心を捉え続けた。だが、著者が昭和を回顧しようとした時、ベルリンの壁が崩れ、ソ連は崩壊。現実の世界はマルクス主義では捉え難く、若い世代は関心を持たなくなっていた。この時点から昭和を回顧したのだった。。





