トップコラム貸倉庫が映す特有の生活文化 米国から

貸倉庫が映す特有の生活文化 米国から

米国の街を車で走ると、「ストレージ」と書かれた大きな施設をよく見掛ける。シャッター式の区画が並ぶ貸倉庫で、最初は業者向けかと思ったが、調べてみると、意外にも個人の利用者が多いという。

不思議なのは、米国の住宅が日本に比べて広いことだ。それでもなぜ、さらに貸倉庫まで借りるのか。

背景には米国特有の生活文化がある。国土の広い米国では進学、転勤、結婚などで州をまたいで移動する人が少なくない。その途中で、家具や荷物を一時的に保管する場所が必要になるのだ。

また、米国は大量消費の国でもある。米国立アメリカ歴史博物館は、消費が戦後の米国の発展の象徴になったと説明している。

実際、大型スーパーやホームセンターでは、季節の飾りをはじめ、アウトドア用品、工具、家具などがいつもずらりと並んでいる。広い家やガレージがあるため、「いつか使うかもしれない」とあれこれ購入してしまい、物が増え続け、やがて家の外にもう一つの収納場所が必要になる。

また、近年ではリモートワークの普及により、家の中に急遽(きゅうきょ)仕事場を確保する必要が生じ、荷物を片付ける手段の一つとしても貸倉庫が重宝されているという。

 米セルフストレージ協会の調査では、貸倉庫を借りる世帯の割合は2024年に全体の13・4%に達した。別の調査でも、物を残す理由として「思い出がある」「いつか使うかもしれない」といった回答が多く、貸倉庫は物を捨て切れない米国文化を映し出す、一つのシンボルとも言えそうだ。(K)

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