
4月中旬からゴールデンウイークにかけて、群馬県桐生市とみどり市にまたがる鳴神山周辺に紅紫のカッコソウ(勝紅草)の花が咲く。絶滅危惧種のカッコソウはサクラソウ科の多年草で、野生種が見られるのは世界で鳴神山だけ。ピンク色のアカヤシオが見頃を迎える4月下旬から、花好きのハイカーたちが続々とカッコソウの山にやって来る。
実は先週、カッコソウを一度見ておこうと、この山を訪れた。
かつては山腹がピンク色に染まるほど数多く見られたそうだが、2012年に国内希少野生動植物種に指定され、今は地元を挙げて保護活動に取り組んでいる。
激減の理由として一つは園芸目的の乱採取が挙げられるが、生育に適した落葉広葉樹林がスギ植林地に変わってしまったことが大きい。
登山口にカッコソウ群生地と採取禁止の案内板。群生地は山頂から北方に30分ほど下った所にあった。わずか数輪だが、鮮やかな紅紫の花弁を遠くから確認できた。地元愛好会の方が「以前は800個体ほどあったが、昨年は350個体ほど。花が咲くまで数年かかる」と現状を教えてくれた。
カッコソウの見頃の5月初旬は、エイザンスミレ、ニリンソウ、オウギカズラ、ヒイラギソウ、コガネネコノメソウなど、可憐(かれん)な花が多い。登山道はよく整備され、植生を壊す食害から守る保護柵や保護ネットがあちこちに設置されていた。花を守るボランティアの努力に頭が下がる。
荒れた山は大概、山腹の神社や祠(ほこら)が荒れ果てて、登山者の足が遠のくのだが、この山は違った。別名、雷が鳴る雷神山は道々に小さな祠が祭られ、毎年5月最初の日曜日に雨乞いの例祭が開かれるという。
山を大切に守り続けてきた先人たちの思いはカッコソウを守る地元の保護ボランティアにも引き継がれている。
(光)





