
東京都千代田区の日比谷公園は大都会の中のオアシス。近くには皇居や東京駅があり、霞が関の官庁街もある。日本で最初に造られた近代的洋風公園で、緑の中を散策するのは楽しい。
中央にある「つつじ山」はツツジの名所で見ごろを迎えている。明治36(1903)年の開園で、江戸時代末期から有名だった大久保つつじ園(現在の新宿区百人町)の閉鎖によってここに植栽されたという。
このつつじ園は、御鉄砲百人組の同心たちが宝暦(1751~64年)の初めごろ、内職として苗木の生産・販売を行ったことに始まり、広大な畑が名所となり、喜斎立祥の浮世絵「三十六花撰 東京大久保つつじ」に描かれた。
日比谷公園の園芸品種は三十余種あり、赤い花を咲かせる江戸キリシマ系が古い品種だ。ところで東京のツツジの名所として人気を呼んでいるのは、青梅市にある真言宗醍醐派の別格本山塩船観音寺。
寺院を丘陵が囲んでいて、この空間一面にツツジが咲く。4月初めから5月上旬にかけて「つつじまつり」が開催中。早咲きのミツバツツジ、中咲きのクルメ系、キリシマ系ツツジ、遅咲きのリュウキュウツツジと続く。
5月3日には柴燈大(さいとうおお)護摩供(ごまく)火生三昧(かしょうざんまい)修行が行われる。柴燈は野外のことで、護摩は火祭り、火生三昧は「火渡り」の荒行。不動明王を招いた火の上を渡って、自身の罪を滅し、息災を祈念する。赤く燃えたツツジが寺院を包んでいるさまは、火の中にお不動さまを迎えた場面に似ている。





