トップコラム平安貴族の天文学への貢献【上昇気流】

平安貴族の天文学への貢献【上昇気流】

 『明月記』は、鎌倉時代の歌人で『新古今和歌集』や『小倉百人一首』の選者でもある藤原定家の日記。源平合戦の時代から鎌倉初期にかけての貴重な史料だが、現代の天文学にも大きく貢献している。

 太陽表面の爆発(フレア)が引き起こす宇宙の嵐(太陽プロトン現象=SPE)を研究する沖縄科学技術大学院大と国文学研究資料館などの研究チームは『明月記』の元久元(1204)年の空に「赤気」(オーロラ)が見えたという記述に注目。オーロラは太陽活動と関係が深いことから、これを手掛かりに、樹木の年輪に残された炭素同位体の高精度分析を行った。

 これによって1200年冬から翌春に大規模なSPE発生があったことが判明。これまで直接観察された中で最大の1956年のSPEより10倍以上大きいと推定された。

 『明月記』には超新星とおもわれる「客星」やすい星(すい星)など、天文に関する記録が多数残されている。最初のものは1006年でる時代で、暦の編纂(へんさん)などを担当した役所「陰陽寮」は、新星や彗星などが現れると天文勘文という報告書を朝廷に提出していた。

 定家も安倍泰俊という陰陽師と交流していた。貴重な記録として『明月記』は2019年、「日本天文遺産」に認定されている。

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