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サクラ好きの春は続く

 東京都八王子市の昭和天皇武蔵野陵に隣接する広大な山林に日本中の主要なサクラや名木が保全されている研究所がある。大正時代に宮内省林業試験場として発足、現在は森林総合研究所・多摩森林科学園として1992年から一般公開されている。

 桜の頃になると桜好きの仲間とよく訪れる。寒桜が咲く2月から八重桜の4月中旬ごろまで、約500栽培ライン、約1800本もの多種の桜を楽しめるのがいい。

 サクラの多くは接ぎ木増殖でクローンのように無数に増える。とはいえ、江戸時代末期に約400種あった品種の多くは明治以降に姿を消し、現在流通しているのは100種ほど。つまり、保存しなければ自然に消えていく運命にある。気候変動や都市のヒートアイランドの影響により、100年先も今のようにソメイヨシノを身近で見られる保証はない。

 100種余のサクラの中で最も目を惹(ひ)くのは八重の御衣黄(ぎょいこう)桜である。ソメイヨシノが終わると、平安時代の貴族の衣の萌黄(もえぎ)色に似た花弁が開き始め、10日以上かけて淡い緑色からピンク色に変わるさまが実に優美だ。

 数年前、地元の知人が御衣黄の木がある公園を教えてくれた。自宅から徒歩20分の芝生公園に大きな御衣黄桜が5、6本。その樹間にはピンクの八重桜が植えられている。花弁の微妙な変化を確かめたくて、開花期に2、3度訪れる。

 同じ環境で多種のサクラを30年以上観測している森林科学園のサクラ保全林では、開花期が早い寒桜は30年で1月ほど早くなっているのに対し、開花期が遅い奈良の八重桜は1週間も早まっていないという。今年の御衣黄の開花は昨年とほぼ変わらず。あと2、3日すればピンク色に紅変した御衣黄桜が見られるはず。サクラ好きの春は続く。

(光)

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