
東京・上野の東京国立博物館の西隣に立派なルネサンス様式の西洋建築が立っている。国際子ども図書館である。明治39(1906)年に建てられた帝国図書館の建物を保存・再利用している。
その壮麗な建物のある敷地の一画に、何かを記念した彫刻があり、土台に最近よく本やテレビで目にした人物の横顔が彫られている。近づいてみると「小泉八雲先生」と書いてあった。
文化財保護・芸術研究助成財団のサイトによると、この小泉八雲記念碑は、東京帝国大学時代に八雲の教え子でもあった詩人の土井晩翠が、長男英一の遺言に基づいて昭和10(1935)年に建立したもの。
八雲が明治36(1903)年、東京帝大講師を解雇され、夏目漱石に交代した時、これに反発した学生たちの授業のボイコット騒動まで起きた。それほど八雲の人気は高かったようだ。
英一は東北帝国大学に学び、エスペラント運動に取り組むが、在学中に結核で亡くなる。英一が生まれた時に八雲は既に亡くなっていたが、父晩翠の影響で八雲の書いたものを愛読していた。八雲が日本を世界に広く紹介したことを高く評価していたようだ。父にその記念碑を建ててくれるよう遺言を残すというのは半端な傾倒ではない。
相対性理論のアインシュタインが来日するきっかけとなったのは、八雲の『怪談』などの著作だった。人類学者レヴィ=ストロースの思想にも影響を与えている。顕彰を遺言に残した英一の見識の高さを証明するものだろう。





