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戦時下の過ぎ越し祭 イスラエルから

イスラエルでは、ユダヤ教の祝祭日の中で最も重要な祭りの一つである「過ぎ越し祭(ペサハ)」が1日夜から始まった。ユダヤ暦ニサン月15日から1週間続くこの祭りは、古代イスラエルの民が、エジプトでの約400年間の奴隷生活を逃れ、神が与えると約束したカナンの地に向けて出発したことを記念する。

祭りの始まりの夕食儀式「セデル」では、家族や親戚、友人が一堂に集って、長テーブルを囲み「ハガダ」という出エジプトにまつわる物語を読みながら、その順序に沿って食べ飲み歌う。敬虔(けいけん)なユダヤ教徒は何時間もかけるというが、儀式を簡単に済ませて食事を楽しむ世俗的な家庭もある。

祭り期間中は、小麦粉やパン種が含まれている食品は禁止され、「マッツァ」と呼ばれる種入れぬパンを食べる。これはエジプトを離れる際、パンを発酵させる余裕もなく急いで家を出たことに由来する。ユダヤ人の家では、部屋の隅々まで徹底的に掃除をして、パン種が取り除かれる。祭り前、ご近所さんたちが残っているパンや小麦粉を大きなコンテナで焼却していた。

戦争中で予備役の男性たちは家にいない。備わっているシェルターに避難できる人数に限りがあり、大勢で集まれない。いつミサイルの空襲警報が鳴るか分からない。それでも隣近所からは夜通し、子供たちの元気な声が聞こえていた。歌ったり、走り回ったり。

幸い、その夜に空襲警報でセデルが中断されることはなかった。 (M)

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