トップコラム入学式と桜の協演、危機に

入学式と桜の協演、危機に

 4月に入り、企業の入社式や大学その他学校の入学式の様子が連日報じられている。東京では葉桜が増えつつあるものの、いまだに春の到来を告げる桜の花の淡いピンクが街に残り、新しい出発の時を祝っているように見える。

 入学式と満開の桜の組み合わせは、筆者が幼い頃から定番になっている。ところが近年は温暖化の影響か、桜の開花・満開時期が早まり、入学式の時期に桜が咲いているだろうかと心配になることが多くなった。

 統計によると、1960年代、東京の桜の開花日の平均は3月30日だったが、90年代は26日、2000年代、10年代はそれぞれ22日になった。今年の開花は19日で、平年(1991~2020年までの30年間の平均)より5日も早く、満開も平年より3日早い28日と観測された。このままでは、入学式と葉桜の組み合わせが定着してしまいそうだ。

 開花して1週間から10日で一斉に満開になり、周囲の景観を一変させる桜は、春の訪れと新しい生活の始まりを彩るのに本当にふさわしい花だ。

 これを可能にしたのは、江戸時代後期に観賞用に開発された栽培品種のソメイヨシノだ。明治時代から広がり、戦後、高度経済成長期に全国で多く植えられた。米国や中国にも友好のシンボルとして多く寄贈され、日本が軍港として開発し、解放後は韓国海軍基地となった昌原市鎮海でも、市街や街に入る峠の両側を覆い尽くすほど植えられ、異国の春を彩っている。

 ただ、接ぎ木で増やすクローンで、折れた枝などから菌が侵入しやすいため、60~80年が寿命と言われている。管理法次第で弘前城のように樹齢100年を超えて丈夫な場合もあるが、最近、東京の公園などで大木が突然倒れたりしており、心配だ。入社・入学式と桜の協演は、これからも長く続いてもらいたいものだ。

(武)

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