宮沢喜一元首相は草葉の陰で渋い顔をされているに違いない。半世紀も前の外相時代の答弁が今日の防衛装備品の輸出拡大反対論でしばしば利用されているからだ。
「わが国は兵器の輸出をして金を稼ぐほど落ちぶれてはいない」(1976年5月、衆院外務委員会)というもので、今国会の野党質問でも取り上げられた。
わが国が世界第2位の経済大国だった頃の話だ。当時、原油高騰で巨額の資金がOPEC(石油輸出国機構)加盟諸国に流れた。その資金で産油国は武器を大量に買った。それで売る側の先進国は少なからず帳尻を合わせた。さて、日本はどうする。そう質問され、この宮沢答弁となった。
今や時代は変わった。高市早苗内閣が進める武器輸出は単なる金稼ぎではない。同志国を増やして安全保障環境を安定させる。同時に防衛産業の基盤を固め有事に備える。日本のみならず世界の平和と安全のためのものなのだ。
宮沢氏の発言なら、これをお薦めする。「中国は軍事強国志向であり、わが国及び周辺の脅威になる。……憲法は変えないで守っていこうと思っているが、最後の判断の要素は中国の出方だ」(2001年9月、サンフランシスコ講和条約50周年記念講演)。
宮沢氏は晩年、中国の軍事的脅威を見据え改憲まで視野に入れていた。むろん9条改正である。氏はリベラリストとされるが、リアリストでもあった。50年前の宮沢答弁を持ち出すのは時代錯誤と言うほかない。。






