トップコラム日米首脳会談の教訓 改憲こそ本格的平和貢献【潮汐閑談】

日米首脳会談の教訓 改憲こそ本格的平和貢献【潮汐閑談】

トランプ大統領は日本の高市首相をホワイトハウスに招き夕食会を開催した(UPI/2026年3月19日)
トランプ大統領は日本の高市首相をホワイトハウスに招き夕食会を開催した(UPI/2026年3月19日)

 日米首脳会談の結果について、わが国の世論はもとより米国の主要メディアも「トランプ大統領の怒りを回避し愛想と自制でほぼ無傷で乗り切った」(ニューヨーク・タイムズ紙)とおおむね肯定的に報じた。もっとも一部野党や朝日新聞などリベラル紙では「追従的」などと否定的な評価に終始したのは、政府与党への批判が“使命”なり“お仕事”とはいえそれまでだが。

 米国とイスラエルのイラン軍事攻撃という最中、しかも日本の石油資源の9割を通るホルムズ海峡の事実上の封鎖という局面でもあり、会談での日本の対応を世界が注視していた。高市早苗首相のフレーズで言えば「わが国ができることとできないことを詳細に米側に説明した」。もちろん具体的なやりとりは明かされないが、こうした事前交渉が実を結び今回の会談は成功裏に終わったわけだ。

 野党や左派メディアとしては、トランプ大統領から戦地状態にあるホルムズ海峡への自衛隊派遣といった難題をふっかけられる可能性を視野に入れ、「高市一強」に対する大きな攻撃材料となり得た。ところが、フタを開けたら国内外の高い評価である。「できることとできないこと」の「できる」部分でトランプ大統領を納得させたことは大きい。

 こうした評価に対し、奇妙な論が出てくる。それは「9条といった憲法の歯止めがあったから、米の無理難題を拒否できた」などと憲法9条効用論を説く向きだ。

 まったく「言いも言ったり」である。日米首脳会談の成果を否定し高市外交の評価を下げる一方で、都合のいい部分は「我田引水」とばかりに持ち出している。

 現行憲法下の枠内で対処せざるを得ないのは当然であり、むしろその制約の下であの成果を引き出したことの外交手腕を評価すべきであろう。いや、だからこそ日本はその手法で外交を貫徹すべきとの主張もあるかもしれない。

 しかし、米ソ冷戦や冷戦後、米国に安全保障を全面的に依存できた時代と違い、最強の米国とはいえその力は万能ではない。今回のイラン戦闘は軍事力そのものだけでなく、その収拾やその後の平和再構築にあたり、いかに米国といえども一国だけでは限界があることをも示した。

 湾岸戦争ではその戦後処理でようやく自衛隊派遣による国際貢献が始まった。それでも大きな法的壁があった。

 中国の覇権拡大と台湾有事、北朝鮮の核ミサイル増強など新たな脅威が深刻化した中で、日米安保の信頼・緊密化を担保する関係強化は不断に尽くされねばならない。その意味ではトランプ氏としては目に見える日本側の明白な「貢献」が本音だったろう。高市首相にとっても「できない」貢献については忸怩(じくじ)たる思いが残ったといえる。そして今後その姿勢が通用し続けられるかどうかも疑問である。

 憲法改正はその日本外交、安保戦略の大きな基といえる。「できない」ことと「できるが、(政策として)しない」は独立国家として大きな違いがあるのだ。

(黒木正博)

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