
イラン攻撃開始からわずか半月。早くもフィリピンの市民生活は、コロナ禍に匹敵するかと思うほどの厳しい局面を迎えている。
コロナ禍の危機は「移動制限」による経済停滞だったが、今回は「移動コストの暴騰」による生活への深刻な圧迫だ。軽油価格は攻撃前の約2倍となる100ペソ(約260円)台にあっという間に達し、130ペソ台も視野に入ってきた。
庶民の足であるジープニー(小型の乗り合いバス)の運転手は昼食を削り、家族への送金も減らすなどのやり繰りを強いられている。1日働いても手取りは最低賃金を下回り、政府支援も「数日分の燃料代で消える」と嘆きが広がる。
運転手団体は追加支援や運賃値上げを求めストに踏み切ったが、抗議以前に、採算割れで運行を諦める運転手も多い。
影響は空にも及ぶ。4月から燃油サーチャージは一気に高水準の「レベル8」へ引き上げられ、国際線の追加費用は最大6209ペソ(約1万6000円)と倍増。観光業や海外出稼ぎ労働者を直撃している。
フィリピンの石油備蓄は約50日分とされるが、石油業界からは契約キャンセルなどの混乱で4月末の燃料枯渇も指摘され、一部のガソリンスタンドでは販売停止も発生した。
さらに運送業界は3割の運賃値上げを予告している。中東情勢が長引けば、物流と人の流れが止まる「第2のロックダウン」となる可能性もある。(F)





