卒業式シーズンである。神奈川県の清川村立宮ケ瀬中学校では、たった一人の生徒の卒業式が行われた。同校は来年度で休校となる。少子化、過疎化が進む中、全国で毎年450~500の公立小中学校が廃校になっている。
2024年に亡くなった火野正平さんが自転車で視聴者の「こころの風景」を訪ねるNHKBSの「にっぽん縦断 こころ旅」でも廃校跡に行くものがある。現在11年の旅を再放送しているが、熊本県の旅で津奈木町の赤崎小学校を訪ねている。
この中学校で学んだ視聴者からの要望に応えて訪ねた校舎は1976年、平地が少ないため海の上に造られた。海に浮かぶ客船のようでユニークだが、2010年に閉校となった。
生徒たちのいなくなった校舎に佇(たたず)み、火野さんは「何と廃校の多いことよ」と嘆き、最後に「どうなるんやろ」とポツリと呟(つぶや)く。全国津々浦々を自転車で巡ったからこそ出てくる感想だが、火野さんの世代特有の感慨でもあるだろう。
1949年生まれの火野さんは第1次ベビーブーム世代。街にたくさんの子供たちが溢(あふ)れる中で育った。本名の二瓶康一で子役として出演したテレビの子供時代劇「わんぱく砦」は、そんな世代の雰囲気を戦国時代に持っていったような番組だった。
戦後のあの時代は、特別子供が多かったのかもしれない。しかし、前途に希望を感じる時代だった。少子化問題は、そんな記憶を持つ世代が生きている間に何とかしなければと思う。






