ここ数年、サンパウロ市内でタクシーやウーバーなどの配車アプリの画面に表れる車種が大きく変わった。
以前のガソリン車から、BYDなどの中国製電気自動車(EV)へと主流が変わりつつある。今や、街角を静かに走る「青いナンバープレート(EVやハイブリッド車専用)」を見掛けない日はない。
先日乗ったBYDのタクシーで、運転手に「EVは人気だね」と話を振ると、彼は「燃料代は浮くし、加速がいいので助かる」「自宅に太陽光発電があれば3年で元は取れる」と笑顔で話す一方、懸念もあることを教えられた。
「心配なのは数年後のバッテリー交換費用や下取り価格だね。ガソリン車のようにはいかないだろう」「充電ステーションもまだ少ない。ステーションが埋まっていたり、故障中だったりして稼ぎ時を逃すこともある」
中国製EVによるタクシー・ライドシェア業界への攻勢に待ったをかけようとしているのがトヨタだ。ガソリンだけでなく、サトウキビ由来のエタノール燃料も使える「フレックス燃料ハイブリッド車(HV)」を武器に猛攻を仕掛けている。
今年に入り、トヨタはタクシーや配車アプリの運転手向けに、BYDと同価格帯で競争できるカローラ・ハイブリッドの低価格モデルを投入した。
「最先端のBYDか、信頼のトヨタか」。サンパウロの渋滞の中で繰り広げられる、中国勢と日本勢のシェア争い。タクシーの運転席は、ブラジルのエネルギー転換の最前線となっている。(S)





