トップコラム馬と人間の宿命的関係【上昇気流】

馬と人間の宿命的関係【上昇気流】

 畜産学者で日本中央競馬会参与などを務めた沢崎坦(ひろし)が1987年に岩波新書で出した『馬は語る』という本を読んだ。もっと早く読んでおけばと思うくらい裨益するところが多く、何より馬という動物がますます好きになった。

 馬、そして馬と人間の関係について分かりやすく書いてある。人間が馬に乗ることが戦争の形態を変え、世界史を変えた。馬を操る上で画期的だったのが、馬の口に着け、手綱につなげて馬を操る棒状の金具、馬銜(はみ)あるいは轡(くつわ)の発明だ。

 紀元前3500年ごろ、中央アジアが発祥らしい。カザフスタンの遺跡から馬銜の痕が残った馬歯が発見されている。馬の歯は前歯と奥歯の間に歯槽間縁(しそうかんえん)と呼ばれる歯の生えない部分があり、そこに馬銜をかませてその両端を手綱につなげる。

 まるで馬銜をそこに入れるために神様が用意したようだ。馬の背がややへこんでいるのも、鞍(くら)を置きやすいので乗馬にはおあつらえ向きだと言える。いずれにしても人間との関わりは宿命的なものがあると言える。

 馬は生まれて数時間で自分で立って歩きだすが、生きていくノウハウは母馬から習う。だから馬を調教するポイントは、母馬が人間の指示に従う様子を子馬に見せることだという。

 また、日本の古典馬術書に「厩(うまや)七分に乗り三分」という言葉がある。真に馬を乗りこなすには、厩で馬を世話する時間と馬に乗る時間の比は7対3でなければならない。これまた、いろんな物事に当てはまる。

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