トップコラム「城」明け渡しの作法【上昇気流】

「城」明け渡しの作法【上昇気流】

 播州赤穂藩主の浅野内匠頭が江戸城内で吉良上野介に刃傷に及びお家断絶となったことを描いた「忠臣蔵」では、赤穂城の明け渡しを巡る幕府側と城の最高責任者である大石内蔵助とのやりとりが見どころの一つだ。日本人の所作の模範ともされる。

 当時、幕府の一方的な処分に対し、城内には城受け取りの城使と一戦を交えるべきだとの強硬論もあった。だが、大石はこれを厳しく戒め、粛々と明け渡しに応じる旨を伝える。

 『元禄快挙録』(福本日南著、岩波文庫)によれば、開城の日、大石は城使を先導して案内し藩の諸記録諸簿冊を捧げ、ここに謹んで本城を御引き渡し申し上げると述べた。城使はじめ幕府側官吏一同は「万事行き届いたる引き渡しの準備、われら深く満足に存ずる」と感動している。

 東京高裁で世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)に「解散」決定が下され、即日教団本部および全国の教会施設に清算人が入った。この迅速さは既に決定が事前に下されていたことを示し、「国策ありき」の疑念を裏付ける。

 教団の堀正一元会長は「解散」決定後、想定外の清算人による即日閉鎖に戸惑いながらも、粛々と清算業務に協力すると強調し、教会の対応でも一切のトラブルもなく清算人から感謝されたと報告したという。

忠臣蔵と一緒にするな、とお叱りを受けるだろうが、“明け渡し”の場面の冷静な対応は共通する。何だか堀元会長が大石に見えてくる。

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