トップコラム選ぶこと、愛すること【心をつむぐ】

選ぶこと、愛すること【心をつむぐ】

 ある本を読んでいて、「人生は道を選ぶことが本質じゃない。選んだ道をどれだけ愛せるかなんだ」という一節にハッとさせられた。

 合理的判断で成功と幸福への最短距離を選ぶことが最善の判断基準であるかのような現代において、それがすべてではないと告げられている気がした。

 この人が運命の人と思って結婚したはいいけれど、しまった、こんなはずではなかった、と後悔する人も多い(3組に1組が離婚する現実がそれを裏付けている)だろうし、学校や仕事など人生の節目節目で「あの時、別な道を選んでいれば」と臍(ほぞ)を噛(か)む思いをした人もきっといることだろう。

 人は普通、その時点で最善と思う選択をするが、時間が経(た)てば必ずどこかに不満は出てくるものだ。その時、自分の選んだ道をどれだけ愛することができるか、が大切なのである。

 恋の喜びは愛の厳しさへの架け橋にすぎない、と歌う曲もあった。愛することには痛みが伴う。愛には苦しみさえもつきまとう。愛とは孤独な闘いだ。愛とはかくも厳しいものであるが故に、それを超えた時の喜びは何にも増して大きいのだろう。

 選んだ道を愛する。そしてどれだけ愛せるのか。愛は覚悟を要求する。愛し続けるという意志と覚悟。たとえ自分の選んだ道が良かったとは到底思えない時が来たとしても、愛し続けたならばその事実は変わらない。だから、決して無駄な時間が過ぎたわけではなく、それだけでも価値ある時間を過ごしたと誇りに思っていいのだと思う。(風)

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