
中国の習近平国家主席が全国人民代表大会(国会に相当)の軍代表団会議に参加し、「軍には共産党に二心を抱く者がいてはならない」と述べ、綱紀粛正を指示したという。軍では、最高指導機関である中央軍事委員会のメンバーが次々と失脚した。
現体制発足時には7人いたが、今はトップである習氏と張昇民副主席の2人だけ。異常事態だ。中国社会には腐敗、汚職、不正、スキャンダルがあふれ、他方で粛清が行われ続けてきた。
英紙サンデー・タイムズの極東特派員だったマイケル・シェリダン氏は、著書『紅い皇帝 習近平』(草思社)の中でその危険な力の実態に迫る。皇帝の読書遍歴を伝えた章がある。
彼が繰り返し読んで研究したのが、マルクスとエンゲルスの『共産党宣言』。よく学んだのが、スターリンの『ボルシェヴィキ党概史』だった。1922年から53年までのソ連は、革命、抵抗、国家存続の手本だったという。
「党は自ら粛清することで強くなり、階級闘争は永続的に続く闘いで、革命は常に敵を必要とする」というメッセージは、中国共産党の現実を予言したものだった。粛清が紅い皇帝のマニュアルとなった。
世界に門戸を開くという北京五輪は過去のもの。「紅い皇帝の本能は内に向かい、手を伸ばすのではなく要塞(ようさい)化し、関わるのではなく孤立することを選び、生み出すのではなく壊そうとしている」と語る。その政策が中国を発展させるものでないことは確かだ。






