
先月8日開票された衆院選の結果は、高市早苗首相が率いる自民党の空前の圧勝だった。昨年11月初旬の高市首相の台湾有事問題に関する国会答弁を機に、エスカレートして留(とど)まることを知らなかった中国の日本への圧力・攻撃は、予期した通り日本世論には逆効果だった。明らかに中国のオウンゴールだった。
中国は、衆院選後もしつこく日本への攻撃を続けているが、国際社会には響いていない。今はメンツを保ったまま振り上げた手を下ろす機会を探さざるを得ないというところだろう。
中国の支離滅裂の戦狼外交はさておき、今回の選挙は、自由、平和、個人の権利の尊重といった美名に隠れて、日本の美しい伝統や平和で安定した社会を破壊し混乱に陥れようと画策する反日左翼のリベラリスト、空想的平和主義者たちに引導を渡した選挙として歴史に記されることになるかもしれない。
高市首相の掲げる政策には、積極財政政策から防衛力強化、インテリジェンス強化、スパイ防止法、さらに憲法改正まで、従来国論を二分してきたような重要政策が並んでいる。
しかし核戦略に関する具体的検討は希薄に見える。これを欠く防衛論議は、複数の核武装国に近接対峙(たいじ)するわが国では、まさに机上の空論だ。
米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)が2024年12月に公表した報告書で、台湾有事の際、米中が軍事衝突し核兵器が使用され得る場合、15回のシミュレーションの結果として、日本が特に注目すべき提言があった。
これは核の持ち込みに関するもので、危機や紛争時の日本への核持ち込みは、中国から見て核攻撃の準備と受け取られ核抑止の効果を日本に及ぼす上で逆効果になりかねないとして、核配備は平時に行うべきだと強調されている。
しかし、高市内閣は、非核三原則を堅持しながらも「日本国民の安全が危機的状況になったとき」に核搭載米艦の日本寄港の判断を「時の政権が命運を懸けて行う」とした10年3月の民主党の岡田克也外相(当時)答弁を引き継ぐとしている。一度核が使用されれば、その後の惨状は想像を絶する。核抑止の強化が極めて重要なゆえんである。
危機になってからの核持ち込みの検討は、遅いどころか逆効果になるという報告書の指摘は極めて深刻だ。具体的な核論議を事実上封殺している非核三原則を喫緊に見直し、核戦略の検討を加速すべきだ。高市首相のぶれない真摯(しんし)なリーダーシップ発揮が大いに期待されるところだ。
(遊楽人)






