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【地球だより】死者鞭打つ歴史は繰り返す?

韓国から

 朝鮮王朝時代初期の暴君、第10代国王「燕山君」(在位15世紀末~16世紀初め)は、政敵に「剖棺斬屍」と呼ばれる報復を繰り返したことで有名だ。すでに死んで土葬されている元政敵やその家族の墓を掘り返し、屍(しかばね)を斬首するという極めて残酷な処罰だ。代表的なのは王の実母を死に追いやった韓明澮という時の権力者に対し、その死後17年が経過してから「剖棺斬屍」を科したことだ。儒教上、墓は神聖なものだというから、さぞかし侮辱的だっただろう。

 このほど内乱罪で起訴された尹錫悦前大統領に一審無期懲役の判決が出るや、与党が間髪入れずに「赦免禁止法」を制定すると言い出したが、ある韓国の識者はこれを「朝鮮時代の『剖棺斬屍』のようだ」と言った。後の大統領が特別赦免(特赦)で尹氏を釈放できないように、「内乱・外患罪」の場合は赦免を禁止し、刑務所に一生閉じ込めておくというわけだ。確かにそこには無期服役者にさらに重罰を与える、一種の「死後処刑」に通じるものが感じられる。

 数年前は、「親日派」のレッテルを貼られた、国立墓地に眠る国家功労者の墓に家畜の汚物をまいたり、弔花を踏みにじるデモもあった。メディアは「まるで現代版『剖棺斬屍』」と書いた。仏教の死生観には、人は死ぬと極楽浄土へ行って仏になり、生前の罪や過ちは死によって清められるので、死者に鞭(むち)打つべきではないというものもある。仮に尹氏が無期懲役となり、赦免も禁止されたら、仏教のような許しの文化の浸透は、さらに遠のくのではないかと思えてくる。(U)

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