
パナマ政府が、パナマ運河の両端に位置するバルボア港とクリストバル港を強制接収した。この二つの港は、香港の複合企業「CKハチソン・ホールディングス」が長年にわたって運営してきた。パナマ最高裁が、これを「違憲」とする判断を示したことを受けての措置だ。
背景には、中南米で影響力を強める中国の動きを警戒する米国の意向がある。トランプ米大統領は2期目の就任演説で、中国がパナマ運河を「運営している」と主張し、「取り戻す」と宣言した。米国にとってパナマ運河は、貿易の上で極めて重要だ。米軍艦も太平洋、大西洋間を移動するために利用している。中国の影響下にあることは安全保障上の大問題だ。
日本が東南アジアや南太平洋の島嶼(とうしょ)国における中国の影響力増大に危機感を覚えるのと同様に、米国が「裏庭」である中南米で存在感を高める中国に警戒を強めるのは当然だ。この地域ではかつて、旧ソ連との核戦争寸前となったキューバ危機も生じた。
中国の中南米進出は巨大経済圏構想「一帯一路」のためだけではなく、政治・軍事戦略と不可分だ。
中国の習近平国家主席が「G2」として世界を二分しようと米国に持ち掛けたことがある。最終的な狙いは、米国の周囲を中国の勢力圏に置き、真綿で締め上げるようにして覇権を奪うことだろう。
漢や唐の皇帝が東アジアで築いた中華思想による冊封体制を、現代世界で再現する。それを中国の夢と考える人々がいるのだ。






