
先日、ホロコースト生存者シャーロット・ロスさん(96)が、イスラエル国籍を取得した。
ロスさんは、イランカ・リー・シュワルツとしてチェコスロバキアで生まれた。10代の頃、ゲットー(ユダヤ人隔離居住区)に強制収容され、後にアウシュビッツ・ビルケナウ絶滅収容所に移送された。到着後、母親や兄弟姉妹とは引き離され、二度と会うことはなかったという。
裁縫の技術があったおかげで、強制労働を強いられることはなく、凍(い)てつく寒さの中でも生き延びた。戦後、故郷に戻った彼女は、ほぼ家族全員が殺害されたことを知った。生き延びていた父親は、身寄りが誰も残っていないと思い、自ら命を絶ったという。
17歳の時、彼女はドイツの難民キャンプで将来の夫ハイムさんと出会った。その後2人は米国に移住した。
ロスさん夫妻は4人の子供を育て、現在では孫9人、ひ孫26人、玄孫(やしゃご)11人という大家族を築き、そのほとんどがイスラエルに住んでいる。夫が亡くなり、米国とイスラエルを行き来することがますます困難になって移住を決意したという。「イスラエルで暮らすことを恐れていません。人生で1度戦争を経験したのですから、また一つくらいどうってことないわ」とほほ笑んだ。
ロスさんの腕には、今も識別番号のタトゥーが残っている。彼女には名前がなく、番号だけだった。解放から80年近くたった今、彼女は自分の名前が刻まれたイスラエルの身分証明書を受け取った。
そして、「私は勝った」と短い言葉で人生を語った。(M)






